田川と小林昌廣氏のダブルキャストです。
【一部】
『病める天才たちの強度』
話者:田川とも子
アール・ブリュット(生の芸術、アウトサイダー・アート)をめぐって考える。アール・ブリュットとは専門的教育を受けず、名声や評価を求めることなく、ジャンルに囚われず、美術史から逸脱し、内面からほとばしる衝動や情念のままに描かれる ような作品群。定義しにくいが、たとえば精神疾患を持った患者や幻視者が絵画で才能を見せる場合などにも使われる。20世紀半ばに画家ジャン・デュビュッフェによって見いだされたが、状況の変化などからニュートラルな評価が躊躇される 芸術かもしれない。そのあたりの“デリケート”なことも踏まえ、いくつかの作品を紹介し、作家と作品の関係などにも話を広げたい。
【二部】
『病いとしての芸術』
話者:小林昌廣
芸術療法Arts Therapyは、表現ないし創作行為そのものを「癒しへの導入」として捉え、作品の完成や評価をめざさず、あくまでも過程を重視する療法のひとつである。描く、動く、奏でるなど、芸術的とまでは呼べないが決して医療的とはいえないそれらの行為を 通して精神身体療法的Psychosomatic Therapyなアプローチを試みる手法である。
今回はその芸術療法の基礎となる二つの領域である病跡学Pathographyと表現精神病理学について略述し、具体的な例を用いてそれらの体系がもつ特徴と問題点について考えてみたい。表現を精神活動の表象行為と理解する古くて新しい分野への考察となる。
「芸術学の学習会」主催のゲストライブになります。
2014年1月12日(日)
会場:高槻現代劇場 会議室306号室
第13回「芸術学の学習会」
講演内容:『病める天才たちの強度』『病いとしての芸術』
※スクエア54主催以外のゲストライブになります。