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アウェイでのツアー

某大学での集中講義終了。お客さんには色々申し訳ないこともありつつ、とにかくありがとうございました。
単発なら結構場数を踏んでいるのだが、アウェイで三日間まるっとというのがはじめてだったツアー。
しかもいろいろ突発事態が重なって、帰国後ほとんどまともに睡眠も食事もとれていない状態。リハもいわずもがな、である。
学校柄なのか担当者柄なのか、なんともゆるい感じで、セトリも時間帯も時間配分もスタイルも服も自由っぽくて、結局どうしていいのかわからなくなる。自由といういちばんの不自由。好きなことを好きなように、というのが結構キツい。対象やモデルやフォーマットがあってそこにシンプルに集約していくタイプなんだと思う。
そもそも私の得意分野は美術批評とかコスプレ衣装制作とかせいぜい製本とかであって、決して自分で物を創作するとか服をデザインするとか本を書くとかいうことが生業ではない。
取るに足らない自分ごときで芸術家気取りの小さな夢を見るより、いわば完全他者の見果てぬ夢を職人的に形にすることに生き甲斐を感じる。ただ、その”他者”は自分で選ぶけど。すでに価値が定まって評価されてるものにあまり興味はない。時代や文化に埋もれている佳きものや誤解されている報われないものを、掘りあてて、見極めて、自由に泳がせて、あるべきところに繋ぎ、その美しい形を愛でること。
ともかく、◯◯について語ってくれ、と言われればそれである程度対応するし、それで”曲”を作ることもできるかもしれない。昔、「空間論」なる科目をやってくれ、と某専門学校の建築系学科で開講日3日前に言われたときは途方にくれたが(笑)。く、くうかんについてしゃべるんですか、と。く、くうかんでないものなんて、世の中にあるですか!?と。ま、演りました。唐突に言われた「靴について90分しゃべれ」は断った…そういや。今なら難しくないリクエストなんだけど。
自分に求められているものが分からない居心地の悪さを拭えずに三日間がじりじりと過ぎる。ひたすらメルベイユ(驚愕)なのか、それとも既存の知の再発見的なものか、何かに役立つようなノウハウなのか。
今語りたいもの語るべきものより、語れるものを優先しているにすぎないのではないか、という自責とか、もう少し詰めればよかったとかいう後悔や、お客さんに忍耐を強いたのではないかという不安や…。
もっとこう、感謝がまず立つライブでないとダメなのだ、申し訳なさでなく。
客席の得体が知れない恐怖は夏スクでも同じだし、スクエア54でも同じ。大学通学部や専門学校で未成年の学生だけ相手に話すよりはもちろん難易度高いけど、でもそれが本来だと思っている。見る目の肥えた恐い大人の客席が未熟な舞台を磨く。
ライブは恐いですね。ナマモノでマモノ。「最後まで一歩たりとも譲ってはいけない」もの。
ま、できれば打ち上げは最終日にゆっくりしたいものです(笑)。

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